S910

S910でセンサーの位置を座標情報で取得する

By Leica Geosystems Japan

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09/21/2021

実車走行試験用ロボット(HI-TEC社製)を販売されている、株式会社東陽テクニカの、機械技術部 吉澤様は、DISTO S910導入後の感想をこう語ります。「手間のかかっていた測定作業が一人で出来るようになり、作業効率が上がっただけでなく、細部を考慮しながら進める測定作業による心理的な負担もなくなりました。」

実車走行試験用ロボット「NaviControl」

吉澤様が担当されているのは、自動車を、予め定義された軌跡や速度で試験走行し、 悪路、長時間、急ブレーキ、衝突、横転、ポッドテストなどを行う自動制御ロボットシステムです。「自動車にロボットを搭載することで、ハンドル、ブレーキ、アクセル、クラッチ、ギアを自動制御し、完全な無人走行によって、ドライバーを危険にさらすことなく走行試験を行うことができます。」と吉澤様は説明します。走行試験で使用するのは、イタリアのHI-TEC社の実車走行試験用ロボット「NaviControl」です。車体の耐久走行試験、衝撃耐性試験の際に、車体に取り付けて自動運転するロボットです。

NaviControl

試験走行中の自動車の位置や速度など、様々な物理的挙動のデータを取得します。ロボットシステムを構成する機材のうち、車体上部に取り付けるGPSアンテナ2台、車体の揺れを感知するIMU(慣性計測ユニット)1台の位置関係を、試験走行前に記録します。GPSアンテナやIMUの位置は、車種によって異なるため、車種ごとに測定する必要があります。

S910導入前の課題:コンベックスを使用した、2人がかりの測定
GPSアンテナやIMUの3次元の位置関係は、コンベックスを使って2人がかりで測定されていました。これらの機器は、同一平面上/同一直線状にないため、互いの距離だけでなく三次元的な位置情報の把握が必要です。 「手作業で、コンベックスの上に水平器を置きながら垂直に曲がるようにしたり、高さは横から眺めて目視で確認していたんです。 一人ではできませんので、どうしても2人以上で作業することになります。」と吉澤様は話します。

車体上部は、フラットな面とは限りません。曲面であることが多く、コンベックスを置いての測定作業は手間がかかります。コンベックスでの測定作業にかかる時間は、1回につき、2人で20~30分。 さらに屋外で測定作業するケースもあります。
「普通車で、晴れていればまだ良いものの・・・雨天の場合は大変です。さらにトラック、バスなど大型車の場合は、手が届かない場所も多く高所作業となり、かなり危険を伴う作業になっていました。」と吉澤様は述べています。

Leica DISTO S910 導入後の効果
Leica DISTO S910 を導入される決め手は、「距離や高さを測れるだけでなく、離れた場所から、レーザー測定によってセンサーの位置を座標情報で取得でき、ソフトウェアに出力できることが魅力でした。」と吉澤様は述べています。

Positioning Sensor on S910

S910導入後の測定作業は、Leica DISTO S910パッケージ、ノートパソコン(Windows 10)、専用ソフトウェア DISTO transferを使い、車の前輪、後輪、車体上部に設置したGPSアンテナx2台、車内に設置したIMUx1台の、計5点の位置座標を取得、ソフトウェアに出力します。GPSアンテナ、IMUの位置関係は、S910の「P2P(2点間距離)測定」機能で測定で行い、対象となる場所をレーザー測定していきます。

 
GPSアンテナは前後の車軸に対して平行に設置する必要があるため、前輪・後輪の中心(P1,P2)をX-Y軸に設定しています。GPSアンテナは円形でアンテナの中心部にレーザーが当たらないため、自作の補助ターゲットを使って測定します。

GPS

専用ソフトウェア DISTO transfer に、測定結果が次々に転送されていきます。Excelへの出力もボタン一つで可能です。ターゲットを測定しているため、GPSアンテナ・IMUとのオフセット値を考慮します。ターゲットによるオフセット値は、S910で座標取得後に計算し、Excelへ入力しています。 

S910

S910を導入したことにより、「1人で測定作業ができ、作業時間も最大15分と、これまでの2/3~1/2になり精度も向上しました。コンベックスでの測定時には常に懸念していた『値が正しいのかどうか?』という不安もなくなったことが大きいです。」と吉澤様は説明されました。

部署内の他のメンバーも同じ作業が出来るよう、作業マニュアルを作成されています。測定作業への精神的な負担がなくなったことが、担当者としては一番嬉しいとのことです。「作業マニュアルを作成したので、わたしだけなく、部署のメンバーが測定できるので、みんな積極的に作業しています。それほど、測定に対する抵抗がなくなりましたね。」と吉澤様は話します。

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NaviControl: https://www.toyo.co.jp/mecha/products/detail/navicontrol.html

NaviControl