P2P Measure for Audio Solutions
Leica DISTO S910は、3D測定が可能な唯一のレーザー距離計として、2015年に発売を開始しました。従来の「ピタゴラス測定」などの測定方法は、その精度や多くの制約がありましたが、S910に採用された「P2P 測定」や「S910 dxf キャプチャ」によって、レーザー照射ができれば自由に測定が可能になった画期的ソリューションです。P2P測定は、敷地調査や建築計画前に使用されるだけでなく、多くの業種で活用されています。今回、ディーアンドビー・オーディオテクニック・ジャパン株式会社さま(神奈川県横浜市)にお伺いし、Leica DISTOの測定値がどのように自社のソリューションに活かされているかお聞きしました。

d&b ArrayCalc Simulation Software
d&b audiotechnik社は、ドイツシュツットガルト郊外のバックナングに本社を構え、プロ用音響機器を製造、販売するオーディオソリューションカンパニーです。音響機器のインストールにレーザー距離計がどのように使用されるのか?と疑問を持たれる方も多いかもしれません。S910を導入する前は、日本法人であるディーアンドビー・オーディオテクニック・ジャパンさまは、Leica DISTO D510を所有し、利用されてきました。会場の図面情報だけでなく、実際にD510で測定された会場のステージや座席の大きさ等の数値は、d&b ArracyCalcシミュレーションソフトウェアに入力され、その空間にスピーカーをプロットした後、音圧シミュレーションが行われます。このシミュレーションによって、事前準備をできる限り行うことが可能です。また、会場では、D510内蔵のチルトセンサーを使って、スピーカーのセンターのチェックも行います。実際にシミュレーションの様子をみせていただきましたが、非常に洗練されたシミュレーションソフトウェアです。

d&b ArracyCalcシミュレーションソフトウェア
Immersive Sound
S910の存在は、ドイツのエンジニアが使用していると社内で情報があったそうですが、2023年にシンガポールでの研修会で実際に試し、日本での導入を決めたそうです。(テクニカルサポート/一丸和人さま) d&b社のイマーシブオーディオシステム、d&b Soundscapeは、高度な没入感を得られるソリューションですが、これを実現するためには、システム設計が非常に重要になります。このシステムについて、少し説明を受けましたが、スピーカーの位置がとても重要であり、その距離に応じて調整が必要であることがわかりました。このシミュレーションに、S910で測定された3D座標が活用されます。
Leica DISTO S910 / FTA360-S / TRI 120
Data Transfer
d&b ArracyCalcシミュレーションソフトウェアには、3D座標も入力が可能です。S910で測定した結果を、DISTO transfer (Windows用データ転送ソフトウェア)を通じて、.csv出力し、エクセルで数値を比較しながら、ArrayCalcに手入力します。このように、スピーカー設置後、S910で測り直し、位置をSWにフィードバックすることで、シグナルプロセッサがより正確な音を再現することができます。余談: ワークフローを聞きながら、「手入力」をされていることが気になりました。DISTO transferでは、データ形式の設定ができるため、x, y, zの各座標のみを出力し、ArrayCalcのタブの順番に転送するように設定すれば、自動化が図れるのではということになり、その結果、手入力を省略できる手順を確立できました。DISTO S910 P2P packageは販売終了しましたが、新製品DISTO X6 P2P packageでも同様の測定が行えます。
DISTO transfer データ送信フォーマット
d&b Soundscape
d&b Soundscapeは、ライカ ジオシステムズのレーザー距離計の3D座標が国内で活用されたはじめての事例です。現在、国内では2カ所にインストールされ、そのほか多数のアプリケーションで使用実績があります。
福山Cable
HUMAX CINEMA (横須賀HUMAXシネマズ)
サカナクション SAKANAQUARIUM2018 (EX Theater ROPPONGI)
KRAFTWERK 3D Concert World Tour (オーチャードホール)
NAQUYO -平安京の幻視宇宙- (ロームシアター京都)
BRUTUS JAZZ WEEKEND 2024 (Music Hall & Bar BAROOM)