ライカ ジオシステムズにとって、測定は全てです。インパクト・ハンマーやドリル、食洗器や燃料噴射装置を製造しているわけでもありません。価格帯に関係なく、高度な測定技術を必要とする製品の製造のみ行っています。
DISTOやLinoを所有すれば、それらの製品を使いプロジェクトを完成させるエンジニアや測量技師たちの仲間入りをすることができます。
ブルジュ・ハリファはよい例です。
800m以上の高さ、160階以上を誇るブルジュ・ハリファは、単に世界一高い高層ビルというだけではありません。次のことにおいても記録を保持しています:
- 世界でもっとも高く、自立した構造物
- 世界でもっとも多い階数
- 世界でもっとも高所にある居住フロア
- 世界でもっとも高所にある展望台
- 世界でもっとも長い昇降工程を持つエレベーター
- 世界でもっとも高所に到達するエレベーター
これらのことは、インハウスマガジン The Reporter (エンジニアによって命名されたと思われる) の中で、2007年にはじめて公表されました:
上の写真をよく見ると、白いヘルメットを被った測量士がいることに気付くと思います。世界一高いビルを建て... 続けているのです。 ブルジュ・ハリファに代表される究極的構造物は、もっとも精度が高く、正確な測定ツールが無ければ、建てることは不可能です。1日に10,000人以上の労働者が800m以上のタワーを建てるためには、「他と同じようなもの」では、成り立ちません。 測定値は正しくなければなりません。
超高層ビルは、強風、太陽光への露出からくる熱的効果、不正面などの様々な要因によって、強烈な外的傾斜効果が発生します。ブルジュ・ハリファは高層ということに加え、非常に細い構造でもあり、傾斜効果はより繊細なものとなります。 このサイズの構造物では、風加重、クレーン加重、建設シーケンスや他の要因により高層階ではビルに揺れが発生することは避けられません。そして、この揺れはビルの建設を難しいものとさせてしまいます。 ブルジュ・ハリファの主任測量技師のDouglas Hayesとライカ ジオシステムズのビジネス・デベロップメント・ディレクターのJoel van Cranenbroeckは、いままでにない新しい手順を開発し、GPS観測と精密角度センサーのネットワークによって、ブルジュ・ハリファの最上階でも信頼度の高い座標点を得られることができました。
建設開始時には、従来の測量技法によって高い精度の結果を得られます。
「地上から約20階までの高さであれば、100mから150m離れた場所にある建設中タワーのベース部分にある既知点(プリズム)から、後方交会法が行えます。つまり、建設中の不測の事態に備えながら、非常に高精度なモニタリングが行えるのです。」とDouglas Hayesは、説明しています。
しかし、20階以上になると、型枠のアッパーデッキによって遮られたり、視認も困難になり、従来の方法は通用しなくなってしまいます。
「構造上の揺れは、精度の高い測量に問題をもたらします。当たり前の話ですが、どんな時でも、どの程度、ビルの設計中心線が実際の垂直軸からオフセットしているかを知る必要があり、同時に、製品の正確な座標も知らなくてはなりません。」とHayesは補足します。「しかしながら、短時間に取得した平均値を使うことで、適切なソリューションを導くことができるのです。」
GPSアンテナ/レシーバーの複雑な構成、トータルステーション、常に作動しているGPSレファレンスステーション、そして、Leica Nivel220 二軸高精密傾斜センサーによって、正確に垂直軸からのタワーのズレを把握、分析をします。
この問題がいかに解決されたかの詳細に興味があれば、ドイツ・ミュンヘンのXXIII FIG Congressで発表された “Core Wall Survey Control System for High Rise Buildings” を参照ください。
オリジナル文書作成:
Leica Geosystems AG
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